【ウマ娘】アニメ4・5話のモブウマ元ネタ解説(マリアライト・マカヒキ等)

放送されてからちょっと時間が経っていますが、今日はアニメ3期『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』の第4話と5話に登場したモブウマキャラの元ネタ(史実)解説をしていきます。

マリアライト(リバーライト)

リバーライト(マリアライト)

兄弟にダートの強豪馬

父:ディープインパクト
母:クリソプレーズ
母父:エルコンドルパサー
生涯成績:20戦6勝
獲得賞金:4億1395万8000円
主なG1勝ち鞍:宝塚記念、エリザベス女王杯

父は改めて語る必要もない名馬にして大種牡馬でもあったディープインパクト。そして母のクリソプレーズはマリアライト以外にも多くのG1(Jpn1)勝ち馬を輩出した名繁殖牝馬。

兄:クリソライト(JDダービーやコリアカップの他地方交流重賞を複数制覇)
弟:リアファル(神戸新聞杯勝利に菊花賞でキタサンブラックの3着)
弟:クリソベリル(チャンピオンズC・帝王賞・JBCクラシック・JDD等Jpn14勝)

ヴィルシーナ・シュヴァルグラン・ヴィブロスのハルーワスウィート3兄弟姉妹が有名ですが、リバーライトもといマリアライトも自身だけでなく兄弟もかなり活躍しています。

4歳時に本格化

3歳時はどこにでもいるような条件クラスの競走馬でしたが、年明け2戦目の潮來特別を3バ身差で快勝すると続く準オープンの緑風Sも勝利してオープン入り。この年の最大目標を秋にエリザベス女王杯に定めます。

マーメイドS2着・オールカマー5着から臨んだエリザベス女王杯は重賞未勝利ということもあって6番人気に留まりますが、直線抜け出すと1番人気ヌーヴォレコルトを抑えて初重賞制覇をG1で飾りました。

続く有馬記念は牡馬相手や不利な大外枠(16番)ということもあり12番人気の低評価でしたが3着キタサンブラックとアタマ差の4着に好走(アニメで誰ぇぇ!?とか言われてましたがこの時既に対戦していてしかも僅差の勝負をしていますw)。

ちなみにこのレースにはこれが引退レースとなるゴールドシップの他に半弟のリアファルも出走していました。

祭りでも、怪物でもない、牝馬のマリアライト

距離適性を考慮して翌年はヴィクトリアマイルではなく宝塚記念を最大目標に定めて調整が進められます。マリアライトは牝馬としては珍しく一度もマイル以下に出走したことがありません

日経賞3着・目黒記念2着を経て臨んだ宝塚記念は8番人気という低評価。

この年の宝塚記念は怪物ドゥラメンテと祭りことキタサンブラックの再戦が最大の関心事となっており、単勝人気もこの両者に集中していました(サトノクラウンやシュヴァルグランも出走していますがこの時点では穴の1頭という程度の評価)。

前年のエリザベス女王杯の勝ちウマで有馬記念でも不利な大外枠からキタサンと僅差の4着に入っていたことを考えると、ちょっと人気が低すぎるのでは?と今見返すと思ったりもしますが、まあ当時は私自身もそれほど評価してなかったので偉そうなことは言えませんが(-_-;)

レースはキタサンブラックがハナを切りドゥラメンテは後方を追走。マリアライトはそのドゥラメンテの前を走る形で進みます。

第3コーナーを過ぎたあたりから外を進出して4コーナーでは一番外を回りつつキタサンを射程圏内に捕らえて最後の直線へ。一番外を回る距離ロスはあったものの直線に入ってもマリアライトの末脚は衰えずジワジワ伸びて残り100mあたりでキタサンを交わして先頭に立つと後ろから追い込んできたドゥラメンテの追撃も封じて勝利しました。

祭りでも、怪物でもない、牝馬のマリアライトというのはこの時の実況です。

大して触れられてはいませんが、キタサンに勝てなかった弟リアファルの雪辱を晴らす勝利でもありました。

宝塚記念もただ展開に恵まれたというわけではなく外を回して力でねじ伏せる勝ち方だったのでモブキャラなのが惜しい。

モブ扱いだから仕方ないとはいえ、キタサンとドゥラメンテがリバーライト(マリアライト)をスルーして2人で健闘を称えあってるのはなんか変な感じでしたね(ゴルシに2・3着のくせにお前らなにやってんだと突っ込まれてたのが一番面白かったw)

宝塚記念以降は一度も馬券圏内に入ることなく、サトノダイヤモンドが勝ったこの年の有馬記念10着を最後に現役を退きました。

マカヒキ(ツウカア)

ツウカア(マカヒキ)
父:ディープインパクト
母:ウィキウィキ
母父:フレンチデピュティ
生涯成績:28戦6勝
獲得賞金:6億3007万5000円
主なG1勝ち鞍:日本ダービー

同期にサトノダイヤモンドやヴィブロスがいる16世代

同期にサトノダイヤモンドディーマジェスティ(ディヴィニティ)がいる16世代。アニメで実名が出たヴィブロスも同世代になります。

皐月賞でダイヤとの無敗対決(3戦3勝同士)で話題になる等、クラシックの時点でははかなり盛り上がった世代でした。

3戦3勝でクラシックへ

新馬と若駒Sを連勝したマカヒキは皐月賞トライアルである弥生賞に出走。このレースには朝日杯FS1・2着のリオンディーズエアスピネルが出走していましたが、後方からレースを進めると1頭だけ33秒台(33.6)の末脚を繰り出して先に抜け出したリオンディースを差し切り無傷の3連勝を飾ります。

皐月賞にはきさらぎ賞を勝って同じく3戦3勝で臨んできたサトノダイヤモンドが出走しておりこれが両者の初対戦。戦前の予想ではこの両者に朝日杯FS勝ちのリオンディーズの3強と見られていました。

レースはリオンディーズが抑えきれずに先行して1000m通過58秒4のハイペースで流れる展開の中、マカヒキは前走同様後方を追走。4コーナーで外を回って直線追い込むも先に抜け出した8番人気の伏兵ディーマジェスティを捕まえきれず2着に敗れました。

サトノダイヤモンドとの叩き合い

皐月賞で初黒星を喫したマカヒキはダービーに直行。

皐月賞で敗れたディーマジェスティをはじめ、前走3強と呼ばれたサトノダイヤモンド・リオンディーズに重賞2連勝の新星スマートオーディン等この年のダービーは好メンバーが集結しこの頃は「最強世代」とも言われたりしていました。

レースは60秒ジャストの平均ペースの中、マカヒキはここ2走より前目の8番手あたりを追走。最後の直線では他馬に挟まれて進路がなくなるようなシーンもありましたが、狭い隙間を突いて一気に伸びると外から追い込んできたサトノダイヤモンドと激しい叩き合いを演じてそのままゴール。結果は8センチの僅差でマカヒキの勝利でした。

凱旋門賞に挑戦

ダービー前の時点で3歳秋での凱旋門賞挑戦が示唆されていましたが、ダービーの勝利を受けて遠征を決断。ニエル賞をステップに本番に挑戦するローテで挑むことが発表。ちなみにこの年の凱旋門賞はロンシャンではなくシャンティイ競馬場での開催となっています。

ニエル賞は僅か5頭立てで重賞未勝利馬がほとんどのメンバーだったこともあり圧倒的1番人気に支持されて順当に勝利。ただメンバーの割にクビ差の辛勝だったことで一部から不安視する声も上がります。

本番の凱旋門賞はこの年からJRAによる海外競馬の馬券発売が解禁されて日本オッズでは1番人気に支持(応援要素もかなりあったと思われます)。しかし不利な外枠(14番枠)を引いた影響もあったのか、最後の直線でまったく伸びずに14着と大敗。この2年前に挑戦したゴールドシップ・ジャスタウェイ・ハープスターに続いて日本馬の惨敗という結果に終わり、この後数年に渡って日本馬が凱旋門賞の掲示板にすら載れない苦難の時代を迎えることになります。

5年ぶりの勝利

日本に帰国したマカヒキは翌年の京都記念で復帰しますが、このレースでサトノクラウンの3着に敗れるとその後も掲示板には載るものの勝てないレースが続きます。同期のクラシックホースであるサトノダイヤモンドやディーマジェスティ等も古馬になってからは伸び悩み「最強世代」の名はいつしか過去のものになっていきます。

5歳時の有馬記念では障害から挑戦したオジュウチョウサンにも先着を許して、障害馬に負けたダービー馬という不名誉なレッテルまで貼られることに。

それでも4歳や6歳時は勝てないまでも大阪杯やジャパンCで4着に入るなどG1でもそれなりの走りを見せていましたが、7歳以降は掲示板に載ることもできず惨敗の連続。

ダービー馬をこのような状態になっても走らせ続けることに一部から非難の声も上がり始めますが、その一方で高齢になっても走り続ける姿にいつしか「マカヒキおじさん」と呼ばれるようにもなってクラシックの頃とは違う意味でファンに愛される馬になっていました。

そしてついに復活の時がやってきます。

8歳の秋を迎えていたマカヒキは久々にG1ではなく2年半前の京都記念以来となるG2(京都大賞典)に出走。とはいえ近走の成績的に人気にはならず9番人気の低評価。この時点でマカヒキは5年間勝ち星から遠ざかっていました。

レースは前半1000mは61秒6とややスローで流れますが、その直後から11秒5のラップが連続して最後の1ハロンは13秒0もかかる展開に。

最後の直線ではマカヒキより1年短いものの菊花賞以来4年勝利から遠ざかっていたキセキが先頭に立ちますが、それを前年の菊花賞2着の1番人気のアリストテレスが交わしてこれで決まりかと思われた瞬間・・・なんと外からマカヒキが迫ってきており粘るアリストレテスとマカヒキが並んでゴールイン。結果はマカヒキがハナだけ出ており、ニエル賞以来5年ぶりの勝利で奇跡の復活を果たしました。

カレンミロティック

カレンミロティック
父:ハーツクライ
母:スターミー
母父:エーピーインディ
生涯成績:43戦6勝
獲得賞金:3億6599万4000円(海外734万2100円)
主な勝ち鞍:金鯱賞

同期にオルフェーヴルやロードカナロアがいる11世代

同期に先日アニメでも名前が出たオルフェーヴルロードカナロアといった超大物がいる11世代。海外には通算14戦14勝のイギリスの伝説的名馬であり大種牡馬としての道を歩みつつあるフランケルもいます(この世代やばい馬が多いw)。

まあ同期にやばい馬はいましたが、カレンミロティック自身は出世がかなり遅かったのでオルフェーヴルと対戦したのは(オルフェの)引退レースだった有馬記念が最初で最後。このレースは前にいった馬が総崩れになる中(上位は全て序盤後方にいた馬)、カレンは2番手から早め先頭に立って6着に粘っていたのでこの時点で個人的には密かに注目していた馬でもありました。

宝塚記念でゴルシの2着に入る

翌年は中山記念14着大敗後、産経大阪杯と鳴尾記念は共に4着に入り宝塚記念に駒を進めます。

1番人気は連覇がかかるゴールドシップで2番人気はオルフェーヴルの2着によく入っていたウインバリアシオン。他にもジェンティルドンナ・ヴィルシーナ等も出走しており、G1実績が特になかったカレンは9番人気の低評価。

レースは阪神では先行できるゴールドシップ(翌年除くw)が4番手から抜け出して3バ身差の快勝。カレンはゴルシには差を付けられたものの3番手追走からしぶとく伸び、逃げるヴィルシーナを交わして2着に入りヒモ荒れを演出します。

秋は香港ヴァースへ招待されて出走するも5着に敗れて6歳シーズンを終えました。

再度波乱を演出

香港から帰国したカレンは阪神大賞典を叩いて(4着)天皇賞春に出走。ここ2戦の負けでまた人気を落としてこの時は10番人気でした。

レースではいつも通り先行策を取り、逃げたクリールカイザーを4コーナーで交わして先頭に立って一時は後続にリードをつけて粘り込みを図るも、道中早めに進出していたゴールドシップにゴール手前で交わされさらに後方にいたフェイムゲームにも交わされて惜しくも3着に敗れます。しかし10番人気で再度ヒモ荒れを演出したことで、穴馬として一気に名前が知られるようになります(個人的にはゴルシのほうを消していて馬券は外れていますw)。

宝塚記念はゴールドシップの大出遅れ(通称120億円事件)で場内が騒然とする中、先行できずに13着と大敗。その後も京都大賞典では3着に入るものの、天皇賞秋とジャパンCは二桁着順に惨敗して7歳シーズンを終えます。

キタサンブラック相手に勝利目前も・・・

前年同様阪神大賞典から始動(6着)して昨年3着に好走した天皇賞春に二度目の挑戦。しかし近走の着順が悪かったことや8歳という年齢もあって13番人気という非常に低い評価。

1番人気は前年の有馬記念を勝ったオールハイユウもといゴールドアクターで2番人気は菊花賞馬キタサンブラック。後に現役最強馬となってG17勝を挙げますが、この時点では人気が示すようにまだ絶対的な存在ではありませんでした。

レースはハナを切ったキタサンが1000m通過61秒8のスローペースで進み、カレンはそのキタサンをマークするように3番手を追走。ロスなく内を走り続けたカレンは直線でキタサンの外に出すとじりじり伸びて一度はクビほど前に出るも、内からキタサンが差し返して並んでゴール。結果はキタサンブラックのハナ差勝ちでその差は僅か4センチという僅差でした。

アニメではEDであっさり流されてしまいましたが、この天皇賞春はキタサンブラックの驚異的な勝負根性(この距離を逃げて最後差し返すのが凄い)と8歳にしてキタサンに最後まで食らいついたカレンミロティックの天皇賞史に残る名レースだったといっていいのではないかと思います(個人的にもカレンの単勝を買っていて直線めちゃくちゃ騒いでましたw)。実際のレースをまだ見ていないという方は一度見てみることをお勧めします(Youtubeですぐ見れます)。