【ウマ娘】アニメ3期放送記念!キタサンブラックの史実を振り返る

「諦めない、この手が届くまでーー」

ウマ娘のアニメ3期『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はアプリ内でもライバルとして描かれているキタサンブラックサトノダイヤモンドのふたりを主軸に物語が展開していくことが発表されています。

今日はアニメの放送を記念して3期で主役となるキタサンブラックの史実を改めて振り返ってみたいと思います。

キタサンブラック史実紹介

父:ブラックタイド
母:シュガーハート
母父:サクラバクシンオー
生涯成績:20戦12勝
獲得賞金:18億7684万3000円
主なG1勝ち鞍:有馬記念、天皇賞春(2回)、天皇賞秋、ジャパンC、菊花賞、大阪杯

同期にドゥラメンテ・サトノクラウン・シュヴァルグラン等がいる15世代

同期には皐月賞・ダービーの二冠馬ドゥラメンテをはじめとして、海外G1を制したサトノクラウンリアルスティール。他にもジャパンCでキタサンを負かしたシュヴァルグラン等がいます

ちなみにサトノダイヤモンドは史実では同世代ではなく1つ下の世代となります。

海外ではアファームド以来37年ぶりのアメリカクラシック三冠馬となったアメリカンファラオもこの世代です。

父はディープインパクトの兄ブラックタイド

ブラックタイドは英オークス2着のウインドインハーヘアを母に持ち全弟にあのディープインパクトがいる良血馬。小柄な弟と違って見栄えのいい馬体の持ち主でセレクトセールでは9700万円という弟のディープインパクト(7000万円)より高額で落札されています。

しかし2004年のスプリングSを制してクラシックでの活躍が期待されるも皐月賞16着(極端な高速前残り馬場だった)の後に屈腱炎を発症して2年休養。故障から復帰した時には全弟のディープインパクトが競馬界を席巻しており、ブラックタイドは”ディープインパクトの兄”と呼ばれるようになっていました。

弟の引退後も現役を続け7歳まで走り続けるも17連敗。結局屈腱炎から復帰後は1勝も挙げることができず引退することになります。

現役時代の重賞実績はスプリングSの1勝のみと成績だけ見ると種牡馬になれるレベルとは言い難いものでしたが、”ディープインパクトの全兄という超良血馬”になっていたブラックタイドは無事種牡馬入り。しかも実績の関係で種付け料が弟に比べて格段に安かったブラックタイドはディープインパクトの代替種牡馬として予想以上に需要が集まります。そしてこのブラックタイドからG17勝の名馬キタサンブラックが誕生することとなります

馬主は演歌歌手の北島三郎さん

キタサンブラックは2012年3月10日にヤナガワ牧場で誕生。馬主は演歌歌手の北島三郎氏。キタサンというのは馬主の北島さんが用いている冠名で、キタサンブラックという名前は冠名+父母の馬名の一部というよく見かける形です。

ウマ娘化されているウマでも・・・

・アドマイヤベガ(母がベガ)
・オグリキャップ(父がダンシングキャップ)
・サイレンススズカ(父がサンデーサイレンス)
・シンボリクリスエス(父がクリスエス)
・スイープトウショウ(父がエンドスウィープ)
・タマモクロス(父がシービークロス)
・ダイワスカーレット(母がスカーレットブーケ)
・テイエムオペラオー(父がオペラハウス)
・ナリタブライアン(父がブライアンズタイム)
・マーベラスサンデー(父がサンデーサイレンス)

このあたりもウマも冠名+父母の馬名の一部の形になっています(他にもまだいるかも)。

ドゥラメンテとの対決

2015年1月31日の3歳新馬戦を4角11番手から差し切り勝ちを収めると、2戦目の500万は2番手から抜け出して3馬身差の快勝。続いて皐月賞トライアルのスプリングSに挑戦すると前年の朝日杯FS覇者のダノンプラチナや共同通信杯を制していたリアルスティールといった強豪を下して3連勝で重賞初制覇。

キタサンブラックは本格化に時間がかかると見られてクラシック登録をされていませんでしたが、皐月賞の優先出走権を獲得したことで追加登録料200万円を払ってクラシック戦線に参戦することになります。

この年の皐月賞は1番人気の弥生賞馬サトノクラウンも単勝3.1倍でキタサン含めて10倍以下の馬が4頭いる混戦ムード。この後二冠を制することになるドゥラメンテもこの時点では重賞勝ちはまだなく(共同通信杯はリアルスティールの2着)気性の難しさ等もあって有力馬の1頭という評価でした。

レースはここ2戦同様先行策を取ったキタサンが直線で一旦先頭に立つも、4コーナーで内から大外まで大きく斜行しながら直線豪快に伸びたドゥラメンテに交わされ、さらにリアルスティールにも先着を許して3着入線という結果に。

次走の日本ダービーは皐月賞同様先行策を取るも直線失速して14着と生涯唯一の二桁着順の大敗。一方ドゥラメンテは中団から直線抜け出して二冠を達成し、この年のクラシック戦線は混戦からドゥラメンテ一強となっていきます。

距離不安の声を一蹴して菊花賞で初G1制覇

二冠馬ドゥラメンテが放牧先で故障(骨折)というニュースが入り、この年の菊花賞は再び混戦模様となります。

1番人気はダートから芝に路線変更して前哨戦の神戸新聞杯を制したリアファル。2番人気は皐月賞2着ダービー4着とクラシックで好走していたリアルスティール。

キタサンブラックは復帰戦のセントライト記念を制していたにも関わらず、菊花賞本番は重賞未勝利の条件馬より下の5番人気という評価に留まります。

サクラバクシンオーとの対決

その理由の一つが母の父がサクラバクシンオーという点。バクシンオーはスプリンターズSを2連覇したスプリンターで産駒も基本短い距離での活躍が目立っていたので、母の父とはいえこの時点では距離不安の声は少なからずありました(個人的にも菊花賞で軽視(-_-;))。

レースは先行策を取っていた近走と違い中団を追走すると、4コーナーでもロスなく内を回り直線狭いところをうまく抜け出すと外から迫るリアルスティールをクビ差抑えて勝利。戦前囁かれた距離不安の声を一蹴して悲願のG1初制覇を達成しました。

菊花賞を制したキタサンブラックは有馬記念のファン投票3位に支持されて出走。このレースではデビュー以来初めて逃げる形でのレースとなりましたが、直線もしぶとく粘って古馬のゴールドアクター・サウンズオブアースに続く3着と好走しこの年のレースを終えます。

ちなみにこの年の有馬記念はゴールドシップの引退レースでもあり、向こう正面で全盛期の頃のような大捲りを見せるも直線で脚が伸びずに馬群に飲まれていく姿は一つの時代の終わりを象徴するシーンでした。

逃げ戦法でG1制覇

古馬になったキタサンブラックは当時はまだG2だった産経大阪杯で復帰。このレースから主戦が武豊騎手に交代となり以降キタサンの全てのレースに騎乗することになります(産経大阪杯は2着)。

天皇賞春は前年の有馬記念で敗れたゴールドアクターに次ぐ2番人気の支持。3番人気にはこれがキタサンとの初対戦となるシュヴァルグランが支持されていました。

レースはキタサンが1000m通過61秒8のスローペースの逃げに持ち込み、最後の直線では13番人気の伏兵カレンミロティックに一旦先頭に出られるも脅威の根性で内から差し返し写真判定の結果4cmという僅差で勝利を収めます。

続く宝塚記念は故障から復帰していたドゥラメンテとの再戦となり、それに続く2番人気に推されます。レースはスロー逃げだった大阪杯や天皇賞春とは違いやや早いペースでの逃げとなり、最後の直線でもしぶとく粘るも外からマリアライトに交わされさらにドゥラメンテにもハナ差交わされて3着という結果に終わります。

ドゥラメンテはこの後再度故障を発症して引退(競走能力喪失)に追い込まれてしまうので、ドゥラメンテとの直接対決は3戦全敗という結果に終わってしまいました。

秋は京都大賞典から始動して2番手追走から直線抜け出して勝利。続くジャパンCも得意のスロー逃げで脚を溜めると直線で後続を引き離して2着サウンズオブアースに2馬身半差をつけて快勝し逃げ戦法で古馬混合G12勝目を挙げました。

サトノダイヤモンドとの対決

ジャパンCの後は前年に続いて有馬記念に参戦。このレースには1歳年下の菊花賞馬サトノダイヤモンドも参戦しておりこれが両者の初対決となります。

人気はサトノダイヤモンド2.6倍でキタサンブラックが2.7倍と僅差で1番人気を譲る形に。やや離れた3番人気に前年の覇者ゴールドアクターが続き、サウンズオブアースとシュヴァルグランは4・5番人気でした。

レースは逃げ戦法で実績を残していたマルターズアポジーがハナを奪いキタサンは2番手追走。4コーナーで逃げ馬を交わして先頭に立つと直線もよく粘ってゴールドアクターを振り切るも、その後ろに控えていたサトノダイヤモンドが末脚を爆発させゴール直前で差し切られて初対決はダイヤのほうに軍配が上がります。

翌年も現役を続行したキタサンブラックはこの年からG1に昇格した大阪杯を年内初戦に選択。有馬同様逃げるマルターズアポジーを見る形でレースを進め、直線抜け出すと後続の追撃を抑えてG1大阪杯の初代王者に輝きます。

次走の天皇賞春は連覇を狙うキタサンブラックと前年の有馬記念を制したサトノダイヤモンドの再戦となり人気面でも完全な二強対決の様相となります。

レースはハイペースで大逃げを打った(1000m通過58秒3)ヤマカツライデンの離れた2番手を追走し、4コーナーで先頭に立つと直線外から追い込むシュヴァルグランやサトノダイヤモンドを振り切り天皇賞春連覇を達成しました。

天皇賞春を連覇した馬
・メジロマックイーン(1991,1992年)
・テイエムオペラオー(2000年、2001年)
・フェノーメノ(2013年、2014年)
・キタサンブラック(2016年、2017年)
・フィエールマン(2019年、2020年)

古馬王道G1皆勤


天皇賞春連覇の後は前年3着に敗れた宝塚記念に参戦。ライバルのサトノダイヤモンドが凱旋門賞挑戦に専念する為に回避したこともあって、春古馬三冠への期待から単勝1.4倍の圧倒的1番人気に支持されるも、直線ズルズルと失速してサトノクラウンの9着に大敗。この結果を受けてサトノダイヤモンドと共に出走を予定していた凱旋門賞への挑戦を回避することになります。

秋は天皇賞秋・ジャパンC・有馬記念の秋古馬三冠に出走し、この年限りで現役を引退することが発表。

秋初戦の天皇賞秋は2000mの勝ち時計が2分8秒台になる極悪の不良バ場になった上にスタートで出遅れて後方からのレースとなる(逃げ先行で実績を残してきたキタサンにとって)厳しい展開となりますが、道悪で他馬が避けていたインコースを通ってスルスルと前に進出して直線に入るあたりで先頭に立つとそこからバ場の真ん中に持ち出してサトノクラウンの追撃を振り切ってG16勝目を挙げます。

秋2戦目のジャパンCは前走とうって変わって好スタートを切ると前年同様ハナを切るも直線これまでのような粘りがなくシュヴァルグランに交わされ3着敗退。レース後に落鉄していたことが判明する等不運な結果に。

ラストランの有馬記念は単勝1.9倍の圧倒的な1番人気に支持され、レースも絶好のスタートからハナを奪うと1000m通過61秒6のスローペースに落として脚を溜め、直線に入ると後続を突き放して2着クイーンズリングに1馬身半差をつけて優勝。3歳の初挑戦時は3着で前年もサトノダイヤモンドの2着とあと一歩届かなかった有馬記念のタイトルを最後のチャンスで掴むと同時にテイエムオペラオーを上回って通算獲得賞金歴代1位となりました(現在はアーモンドアイが19億1526万3900円で歴代1位でキタサンは2位)。

この年は大阪杯→天皇賞春→宝塚記念→天皇賞秋→ジャパンC→有馬記念と中長距離の古馬G1に皆勤してその内4勝を挙げるという圧倒的な成績を残しました。近年のトップホースは春2戦・秋2戦で年間4戦前後というケースも珍しくありませんが、キタサンブラックは古馬王道路線を大きな故障をすることなくほぼ皆勤して宝塚記念を除く5つのG1に勝利するなど能力に加えてその頑健さも素晴らしいものがあったと思います。

イクイノックスをはじめキタサンブラック産駒も大活躍中

現役を引退したキタサンブラックは種牡馬としても大成功。初年度産駒から天皇賞秋・有馬記念・宝塚記念に加えてドバイシーマクラシックも圧勝した現役最強馬イクイノックスを輩出し、2年目の産駒からも皐月賞を直線一気の豪快な末脚で勝利したソールオリエンス等の大物を出しています。

種牡馬の成績を示す指標の1つであるアーニングインデックス(AEI)の数値も優秀なので、今後覇権種牡馬になる可能性も十分ありそうです。

ちなみに今年のクラシックはキタサンブラック産駒ソールオリエンスと同期のサトノクラウン産駒タスティエーラが皐月賞とダービーで順番を変えて1・2着に入る形となっています(菊花賞での再戦が楽しみ)

現役時代一度も先着できないままターフを去り種牡馬としても早くに世を去ってしまいましたが、ドゥラメンテ産駒のタイトルホルダー・スターズオンアース・リバティアイランドあたりとキタサンブラック産駒・サトノクラウン産駒が対決するところももっと見てみたいですね。